亡くなった方の車、どうする?相続から買取・廃車までの完全ガイド

ご家族が亡くなられた際、故人名義の車をどのように扱えばよいのか、悩まれる方は少なくありません。

車は相続財産に含まれるため、適切な手続きを進めないと税金や保険、名義などで思わぬトラブルが発生することも。

 

この記事では、相続から廃車・売却までの流れや必要書類、普通車と軽自動車で異なるポイント、専門業者に依頼する場合のメリットまで、分かりやすく丁寧に解説します。

安心して手続きを進めるための基礎知識を、ぜひ参考にしてください。

故人名義の車は資産として扱われる

ご家族が亡くなられた後、遺された車の取り扱いで迷う方は多いものです。

自動車は家や土地と同じく、法的には「相続財産」となります。たとえ日常的に使っていた車であっても、ご遺族が独断で売却や廃車の手続きを進めることはできません。

所有者が亡くなった時点で、その車は配偶者やお子さまなど法定相続人全員の共有財産となります。

 

実際の手続きでは、まず相続人同士で話し合い(遺産分割協議)を行い、車を誰が引き継ぐかを決めることが一般的です。その後、新しい所有者に名義を変更(移転登録)してから売却や廃車といった処分の手続きを行う流れになります。

もし名義が故人のまま放置されていると、自動車税の納付書が故人宛てに届き続けたり、任意保険の名義変更や解約をしないまま運転してしまうと補償が受けられなくなったり、思わぬトラブルの原因になることがあります。

 

なお、例外的に「永久抹消登録」に限っては、相続人のうち一人が代表して手続きできる制度もありますが、多くの書類が必要となり手続きは煩雑です。そのため実務上は、相続人へ名義変更をしたうえで処分する方法が、最もトラブルを防げる安全な方法といえます。

 

参考:e-Gov法令検索「民法(明治二十九年法律第八十九号)」

https://elaws.jp/view/129AC0000000089

参考:国土交通省 関東運輸局「相続による移転登録について」

https://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/content/000171606.pdf

名義変更をしないと廃車できない理由

名義変更を行わないまま廃車や売却ができないのは、法的に車の処分権限が“正当な所有者”にのみ認められているからです。所有者が亡くなると、その車は相続人全員の共有財産となりますが、行政手続き上「相続人全員」という曖昧な状態では申請ができません。

 

そのため、遺産分割協議などで代表となる相続人を決め、正式に所有権を移す「移転登録(名義変更)」が必要です。この手続きでは次のような書類が求められます。

 

  • 故人の死亡を証明する戸籍謄本や除籍謄本
  • 相続人であることを証明する書類
  • 相続人全員の合意を示す遺産分割協議書 など

 

これらをそろえたうえで名義変更が完了し、初めて新しい所有者が廃車や売却などの処分を行う権利を得ます。手続きを省略してしまうと、後々の相続人間トラブルや法的な問題の火種になるおそれがあるため、慎重に進めることが大切です。

放置すると起きるリスク

名義変更や処分を後回しにしていると、さまざまなリスクが生じる可能性があります。主なリスクを以下にまとめました。

 

リスク内容具体的な問題
自動車税の納付滞納故人宛に納付書が届き続け、相続人が気づかず未納になることがあります。最悪の場合、延滞金や財産差し押さえにつながるケースも。
任意保険の補償が受けられない契約者死亡後、名義変更や解約などの手続きをしないまま運転した場合、事故が起きても補償対象外になる可能性があります。
違反・事故通知の混乱駐車違反などの通知は、原則“車検証上の使用者”宛に届きます。使用者が故人のままだと、通知が故人住所に届いて遺族が対応に困る場合も。
車検・保険手続きの不整合名義が故人のままでも継続検査(車検)自体は代理人でも可能ですが、相続や保険・税の整合を取るためにも早期の名義変更が推奨されます。
車検切れによる罰則車検や自賠責保険が切れた状態で公道を走行すると、法律違反となり重い罰則の対象となります。

 

トラブルを避けるためにも、名義変更や抹消登録を速やかに進めてください。

 

参考:警視庁「放置駐車違反に対する責任追及の流れ(2025年4月2日)」

https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kotsu/torishimari/ihan/nagare.html

故人の車でも普通車と軽自動車で手続きは違う

廃車手続きや必要書類は、普通自動車と軽自動車で大きく異なります。普通自動車は「登録資産」として運輸支局で厳格に管理され、軽自動車は「届出資産」として軽自動車検査協会が管轄します。

いずれも、まず相続人を確定させて名義変更し、その後に廃車や売却手続きを進めることになりますが、書類や申請方法に違いがあるため注意しましょう。

普通自動車の廃車手続き

普通自動車の場合、相続人同士で話し合い、車の引き継ぎ先を決定します。決定後は名義を相続人へ変更(移転登録)し、管轄の運輸支局で廃車(抹消登録)手続きを行います。

複数の相続人がいる場合は、誰が車を引き継ぐか全員で合意した「遺産分割協議書」を用意する必要があります。単独相続の場合でも、戸籍書類など必要なものを確認し、手続きを進めてください。

普通自動車の廃車に必要な書類

書類名概要・注意点
自動車検査証(車検証)原本が必須。紛失した場合は再発行が必要です。
ナンバープレート2枚前後をそろえて返却します。
戸籍謄本・除籍謄本故人の死亡および相続人全員を証明します。出生から死亡までの連続した戸籍が必要な場合も。
遺産分割協議書相続人が複数の場合に合意を証明します。全員の実印が必要です。
相続人全員の印鑑証明書実印が本物であることを証明します。発行から3ヶ月以内のものが推奨されます。
新所有者(相続人)の実印申請時に必要。代理人の場合は実印を押印した委任状も用意してください。
解体報告記録(永久抹消の場合)解体業者から「移動報告番号」と「解体報告日」を受け取って提出します。

 

参考:国土交通省 東北運輸局「相続に関する必要書類一覧表」

https://wwwtb.mlit.go.jp/tohoku/am/touroku/shinseishorui/to-souzoku.pdf

軽自動車の廃車手続き

軽自動車は普通自動車に比べ、手続きがより簡素です。基本的には軽自動車検査協会で抹消登録を行います。名義変更と廃車手続きを同時に行える場合もあります。

ただし、窓口によっては故人の死亡や申請者が相続人であることの証明として戸籍謄本などが求められることもあります。名義変更も同時に行う場合は住民票等が必要になることがあるため、事前に必要書類を確認してください。

軽自動車の廃車に必要な書類

書類名概要・注意点
自動車検査証
(車検証)
原本が必須。紛失している場合は再発行を。
ナンバープレート2枚手続きの際に返却します。
新所有者(相続人)の認印申請者本人が持参。代理人の場合は認印を押した申請依頼書が必要です。
戸籍謄本・除籍謄本
(必要に応じて)
名義変更や相続手続きを伴う場合のみ提出を求められることがあります。
使用済自動車引取証明書・解体届出書
(解体返納の場合)
解体業者の報告後に提出します。
新所有者(相続人)の住民票
(名義変更時のみ)
発行から3ヶ月以内。マイナンバーなしのものを用意。名義変更手続きに限り必要になることがあります。

 

参考:軽自動車検査協会「解体返納 | 廃車(返納・解体届出)」(2023年12月11日)

https://www.keikenkyo.or.jp/procedures/scrapped/dismantling.html

参考:軽自動車検査協会「名義変更(売買・譲渡・その他)」(2023年12月29日)

https://www.keikenkyo.or.jp/procedures/change_name.html

廃車の方法は2種類から選べる

廃車の方法には「永久抹消登録」と「一時抹消登録」があります。それぞれ特徴が異なるので、今後の利用予定や状況に応じて選択しましょう。

永久抹消登録

永久抹消登録とは、車を解体して二度と使用できない状態にし、車両登録そのものを完全に抹消する手続きです。

認可を受けた解体業者に車を引き渡し、解体後に「解体報告記録(移動報告番号・解体報告日)」とナンバープレートを運輸支局(軽自動車は軽自動車検査協会)に提出して手続きを行います。

この登録が完了すると、自動車税や自賠責保険料の課税も止まります。また、車検が残っていれば自動車重量税が月割りで還付されることもあります。

一時抹消登録

一時抹消登録は、車を解体せずに登録だけを一時的に停止する方法です。

「しばらく使う予定がない」「将来的にまた使う可能性がある」といった場合に利用されます。

 

手続きとしては、運輸支局や軽自動車検査協会に車検証とナンバープレートを返却し、登録を休止します。これにより、翌年度から自動車税の課税が停止されます。ただし、一時抹消では自動車重量税の還付は受けられません。

再び車を利用したくなった場合は「中古車新規登録」の手続きを行い、再度ナンバープレートを取得して公道を走ることができます。

所有者がローン会社やディーラーの場合の注意点

車検証の所有者欄がローン会社やディーラーになっている場合は、「所有権留保」という状態です。

ローンを完済するまで車の所有権はローン会社などに残り、相続財産には含まれません。

ローン残債がある場合

ローンの支払いが残っている間は、車の所有権はローン会社やディーラー側にあります。

相続人が自由に廃車や売却などの手続きを進めることはできません。

まずは車検証の所有者欄を確認し、ローン会社に連絡して契約者が亡くなった旨を伝えましょう。そのうえで、残債を一括返済するか返済が難しければ車を返却するかを選択する必要があります。

ローンを完済している場合

ローンを完済しても所有者名義がローン会社のままになっている場合があります。

この場合は「所有権解除書類」をローン会社から取り寄せ、相続人に名義を変更する必要があります。

所有権解除後に相続人が正式な所有者となり、初めて廃車や売却手続きを進められます。

廃車を業者に依頼するメリット

故人の車の廃車手続きは、書類の準備や役所での対応などご遺族にとって大きな負担となりがちです。

そうした場合は、専門の廃車買取業者へ依頼することも検討できます。

手続き代行を任せられる

専門業者に依頼することで、名義変更から抹消登録までの複雑な手続きを一括で任せることができます。

相続が絡む名義変更や運輸支局での手続きも、書類不備による再訪問などの手間が省けます。

また、遠方に住んでいる場合でも郵送やオンラインで対応できる業者が多く、地理的な制約も気にせず依頼可能です。

引取・レッカーが無料になる

動かない車の場合でも心配いりません。多くの廃車業者では、車両の引取やレッカー移動を無料で行っています。

ご自宅や実家、月極駐車場など希望する場所まで引き取りに来てくれるため、移動の手間や費用がかかりません。

還付金や買取金を受け取れる

「廃車=処分費用がかかる」というイメージを持たれがちですが、実際は専門業者に依頼することでお金が戻る場合もあります。

 

  • 還付金:普通自動車であれば自動車税が月割りで還付されます。車検が残っている場合は自動車重量税や自賠責保険料も返金の対象となります。軽自動車は自動車税の月割還付は原則ありませんが、重量税の還付は受け取れます。
  • 買取金:廃車予定の車でも、車体や部品としての価値がある場合は買取金がつくケースも。金額は車種や状態によって異なります。

故人の車を廃車するなら早めの対応がおすすめ

相続や廃車の手続きは、できるだけ早めに進めることが大切です。

名義が故人のままだと税金や保険、法的なリスクが継続するため、後回しにしないことをおすすめします。

 

手続きにあたっては、まず車検証で所有者欄を確認しましょう。ローン会社やディーラー名義の場合は、事前にそちらへ連絡し、状況を確認してから進める必要があります。

普通自動車の場合は相続人への名義変更後に廃車や売却手続きを。

軽自動車の場合も簡易的な相続書類とともに抹消登録を進めてください。

 

もし自分での手続きが難しい場合は、浦和自動車解体のような廃車買取業者へ相談すれば、買取・引取・名義変更・抹消登録まで一括でサポートが受けられます。

動かない車も無料で引き取り可能で、買取金がつく場合もあります。

早めの行動が余計な出費やトラブルを防ぐコツです。

〒338-0824

埼玉県さいたま市桜区上大久保93

TEL 048-854-9923 / FAX 048-855-7848

R京浜東北線 北浦和駅西口より(埼玉大学行き)バス乗車約15分

JR埼京線 南与野駅西口より(埼玉大学行き)バス乗車約10分

「埼玉大学」バス停下車 徒歩約3分

外観写真